”ばっちゃん”こと84歳中本忠子さんの著書「あんた、ご飯食うたん?」感想。




こんにちは。オクユイカです。

”ばっちゃん”こと中本忠子さんの「あんた、ご飯食うたん?~子どもの心を開く大人の向き合い方」という本を読みました。

良い本。

「ばっちゃん」こと中本忠子さんとは


1934年生まれ(現在84歳)。広島にてNPO法人「食べて語ろう会」を設立し、理事長をしているのが中本忠子(なかもと・ちかこ)さん。

1980年から保護司を務めたことが、今の中本さんに繋がっています。

保護司とは
保護司は、犯罪や非行をした人の立ち直りを地域で支える民間のボランティアです。保護司法に基づき、法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員とされていますが、給与は支給されません。 引用:法務省HP 保護司 

保護司の活動を通じて犯罪を犯したり、非行に走る子どもの多くが「お腹がすくから悪さをする」ことを知り、それ以降無償で子どもに食事を提供するようになりました。

中本さんの活動のきっかけ

本の中に活動のきっかけが書いてあった。

保護司になって2年後のこと、中学2年生のシンナー少年を受け持ったそうです。

マニュアル本通りに対応してもシンナーを吸うことをやめなかった少年。

どうしよう、どうしようと思っていた時に、何気なく「どうしてシンナーやめれんの」と聞いたんです。

すると、彼が言ったんです、「しょうがないじゃぁ、腹が減っとるんじゃけん」と。

「腹が減っているときにシンナー吸ったら、腹が満タンになるん?」と聞くと、「腹がすいたの忘れることができる」と言うんです。

父親がアルコール中毒で自分はしばらく何も食べていない。それで空腹を紛らわすためにシンナーを吸っているのだと。

(中略)

それなら、しょっちゅうお腹を満タンにしておけば、シンナー吸わなくてええんじゃの、と言うと、そのときになって初めてニコッと笑って言うんです。

「うん、たぶん、吸わんですむと思うよ。そうしたら、窃盗もせんでええじゃん」びっくりしてしまって

「ええっ、あんた窃盗もしとんの」と聞くと、「だって、シンナー吸う時に、窃盗せんじゃやりよらんじゃん」

あらまぁ、というようなことで。

食事を準備するようになると1か月もたたないうちに、その子はシンナーを辞めただけでなく、学校に行くようになったそうです。

そしてその子が似たような境遇の他のシンナー少年を連れてくるようになり、中本さんの家がシンナー少年のたまり場に・・・。

せっせとご飯を作っては「食べんさい、食べんさい」と言ってどんどん食事をさせていったんです。

そうしたらみんな、シンナーをやめていきました。万引きもやめました。

この活動が中本さんの原点です。

最初の10年は、貯金を切り崩し生活も切り詰め、月に10万円程を自腹でまかなっていたそうです。

中々できることじゃないよね~・・・・。

というか、始めるのは簡単。

「続ける」ということを何十年も実践ベースでされているのがすごい!!

本の中で、こどもたちに「助けて!」と言われた経験のない人には、わからないという一文があったんだけれど、たしかにそうかもなって。

目の前の小さな子が一生懸命「助けて!」と言ってきて、なんとかしなきゃっていう気持ちになるのかもしれません。

心に残ったことば

ものごとは善悪でなく損得で教える

どんなに子どもに話してもわかってもらえないときには、ものごとを損得で教えるようにしているそう。

中本さん自身は、ものごとを損得で考えてはいけないという信条を持っているようですが、子どもたちに善悪で教えようとしても絶対にわかってくれないことが多いのだそう。

発達障がいのあるお子さんと関わる時にも「これしたら○○君がお得だよ~」などと損得で伝えることがあるんだけど、レベルが桁違いというか・・・

「もう何日くらい警察につかまっていない?」と聞くと「もう、半年以上つかまってないよ」というので、

「それじゃあよかった、金が、県の方にようけたまとるで。おまえたちつかまったら、1日1200円ずつお金がかかる。

それが使わずにたまれば、その分県のほうにお金が溜まって、ばっちゃんも年金たっぷり払ってもらえる。そうでないとおまえたちに食べされられんから、おまえたちが損するんよ」

(中略)

「ばっちゃん、もう3か月警察につかまってないけん、ばっちゃんも年金たまってる?」

「それじゃあ照合してみるの」

「照合してみんさい、照合してみんさい!」

そんなふうにして、犯罪を起こさなかったら、どれだけお金がもうかるか、と言う話をすると「ふーん、なるほど」「じゃあやめておこう」となる。

損得の話でないと、今の子どもたちにはなかなか話を聞いてもらえないのが現実のところです。

ちなみに、いくら数学ができない子どもでも、数字に「円」をつけただけで、「金のことなら聞くよ」ってなるんだって。笑

中本さんは、お金や損得の話に言い換えながらでも、ひとつひとつ、やるべきこととやってはいけないことを伝えているそうです。

難しいことも一人一人に合わせて。

お金の話に結び付けただけじゃなくて、「大好きなばっちゃんの年金のためなら!」という気持ちがあるから、子どもに伝わったんじゃないかなって思います。

そうなるまでに築き上げてきた信頼関係があってこそだと感じました。

一緒ですよ、子どもも大人も。ひとつも変わらん

犯罪というものは、空腹からくる犯罪、孤独からくる犯罪があります。孤独と空腹が犯罪のもとになる、というのが私の持論。

孤独にさせないようにする。満腹感をたえず持てるようにしてあげる。そしたら悪いことをしようにもする気がなくなる。

暴力団に入る人がいるのも、食べれないから入るわけでしょう、犯罪を犯す人はみんな孤独になりすぎているんです。

一緒ですよ、子どもも大人も。ひとつも変わらん。

むかーし、むかし。まだ詳しく書く勇気はないけれど、私も同じような状況の中に居た時があるのですが

その時の自分を振り返っても「孤独」「空腹」というのはキーワードのような気がしています。

 

大人も子どもも何一つ変わらないって、ほんとだよね。「心」って同じだもんね。


どうか地域でも、そういう子に対して温かく接して声をかけてやってほしい

どうにもならないような子でも、見守って愛情をかけてやり、その子がやる気になったときに背中を押す、それによって、子どもはほんとうに変わってきます。

その変わりようはもう、すばらしいです。

こちらが誠心誠意、子どもを見つめることにより、変わってくるのです。

ですから、どうか地域でも、そういう子どもたちに対して、あたたかく接して、言葉をかけてやってほしいと思うんです。

よく、刑務所から帰ってきた人たちが言うことには、おれたちは、何がおそろしいと言ったら、一番怖いのが地域の目、と言うんです。

地域の目が怖すぎるから、それならもう再犯をして、再び刑務所に入ったほうが気が楽、刑務所ならみんな同類だからという人もいました。

地域というものは、いいにつけ、悪いにつけ、人にとって非常に重みがあると思います。

どうしたら、地域の人たちに、そういう子どもを一緒に抱えてくれるんだろう?と考えて動く中本さん。

自らいろいろな役員を引き受けたり地域の行事に参加したり、

時には子どもたちにもおいしいものを食べさせるといって、地域活動にも参加させたりすることからはじめたのだそう。

なんでもそうですが、やはり、私たちのほうからまず変わらないことには、始まらない。地域の場合も同じなんです。

どんな人からでも学ぶことはできる。

相手が子どもでも大人であっても、こちらが関心を持ちさえすれば、人はどんな人からでも学ぶことはできます。

自分の理想とするようなタイプの人としか付き合わないのは、少し下手な生きかたではないかと思うんです。

「あんた、ご飯食うたん?」の感想

こんな家庭的な雰囲気、いいなぁ~。

最近よくお話する81歳の方がいるのだけれど、中本さんにしてもその方にしても、言葉に重みがあるんです。

それって、きっとコツコツ積み重ねてきた経験だったり人と真っすぐに向き合ってきたからじゃないかなって思います。

見栄だとか、目立ちたいだとか、自分の存在意義のためにしているのではなくて

「目の前にいる人のヘルプをほたっておけない!」というただ、その一心で動いてこられたのではないかと。

で、何よりも継続しているということがすごい!

 

次から次に困っている子どもがくるからやめるに辞めれないと書いてましたが、そこに楽しみもちゃんと感じているから続けられている部分もきっとあるのではないのかな~。

「料理が好きだからやってこれた」そんな中本さんから自己犠牲感は感じませんでした。

だから、スーッと心に入ってきたのかも。

あとは本に書かれている文章から感じられる謙虚さや学ぶ姿勢などなど、かっこつけていないそのままの言葉で書いてあった。

年齢を重ねても、謙虚さや学ぶ姿勢を持っているってかっこいいし、憧れる!

 

どんどん読み進められた本でした(^^)

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おく ゆいか。
介護福祉士→発達障害関係のNPO法人→特別支援学校教諭→退職して青年海外協力隊etc...
”みんな違ってみんないい” を実現する社会をつくるために、NPO法人TetoCompanyを設立し
大分県竹田市にて地域の交流拠点や福祉事業を運営。
小心者でおっちょこちょい。
LGBTサポートチームココカラ!共同代表。LGBT当事者として大分県内で講演活動等もしてます




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