バリ島のアニキ×吉本ばなな「にぎやかだけど、たったひとりで」感想。

こんにちは。オクユイカです。

先日、買った、この本のレビュー!!

”バリ島の兄貴”こと丸尾孝俊さんの言葉を、小説家の吉本ばななさん(チーム石原)がまとめた一冊。

バリ島のアニキとは・・・?

大阪生まれ。3歳で母親が家を出る。

中学校卒業後、看板屋に丁稚奉公。 その後、吉本興業事業部に入社。独立。

トラック運転手からセミナー会社経営などを経て28 歳で単身バリ島へ渡る。手持ち資金18万円、的屋業からはじめた商売は関連会社31社(従業員5千数百名)のグループ会社に成長。

バリを中心にアジアに不動産資産数百ヘクタール、数十件の自宅を所有。
地元の人々に、学校、病院などを寄付するだけでなく、アスファルトの舗装、伝統芸能の楽団を維持・運営援助、52人の孤児の里親になるなど、今でも困っている人には惜しみなく手を差し伸べる。

現地の人からは「アニキ、マルさん、ボス」などと呼ばれ、慕われている。  引用:ANIKI WAKYO

 

 

~本屋さんにて~

おく
みかんちゃん!!この本見て!!!!買いたいの!
ミカン
それ、名前に惹かれてんやろ?今の自分と重ねてんねやろ?

図星(^-^)

今、私は大分県竹田市という田舎で、地域の人たちが気軽に集えるコミュニティ「みんなのいえカラフル」というのをつくっています。

赤ちゃんからご高齢の方まで様々な人に囲まれて本当ににぎやか!!

にぎやかなんだけれど・・・・・。

 

代表である以上、ひとりで考えていかないといけないことってあるわけで

”にぎやかだけど、たったひとりで”というタイトルにグッと引き寄せられたけど、それだけではなく

 

アニキの考えにまた触れたいなぁ~って思ったからです。

最近は、電子書籍で購入することが多かったけれど、読み終わった後にカラフルに置けるかな?とおもい、久しぶりに紙の本を買ったのですが

なかなか見つけられなくて店員さんにたずねたところ、お金を稼ぐ系のビジネスの棚にあった。

 

そういえば最初に図書館で読んだ本も・・

大富豪と書かれた本だった。

そして、この本がきっかけで、バリ島のアニキに会いにいったのが3年ほど前。

お金を稼ぐことだけ書かれた本だったら会いに行ってないのですが

今の日本が無くしかけている大切なことがたくさん書かれていて、そこに共感して会いにいったんです。

「にぎやかだけど、たったひとりで」の感想

この本は、吉本ばななさんやその仲間たちが、3日間かけてアニキのお話を聞いて作ったもの。

なので、関西弁の会話調のまま。それが心地よくさらっと読める理由。

難しい言葉を使っている本が苦手な方でもすらすら読めると思います。

 

3歳から一人で生きてきたアニキの生い立ちや、そこからアニキ自身が生きていく中で学んできたことがかかれてました。

小学生くらいからは働いた記憶ばっかりや。

一度、何にも食うてなくて腹減ってた時に、六歳くらいの頃、

コロッケ屋で揚げたてのコロッケ盗んでバーッて口の中に入れたら、上あごに揚げたてのコロッケが全部引っ付いて大やけどしたんや。

でも、逃げなあかん。盗んだんやから。ブワーって走り出したんや。

そしたらおばちゃん猛烈に追いかけてきて逃げ切ったあたりで、遠くから「明日も来るんやで」って呼ぶんや。

明日も取りに来いって言うんや。

もう、動けんかった。食べさせてくれって、頼めばよかったと思ったんや。

そんなんが小学校時代やで。子供の時からわかっとったんや。しまった、とんでもない事やらかしたと。

これが道徳教育。

給料もらえるようになってから四年くらいたって、コロッケ屋のおばちゃんのところに行ってみたんや。

もう十数年たった頃や。ハワイ旅行とか当時流行っとったから、チケットでも買うてプレゼントしようかと。

そしたらシャッター下りとった。

隣の乾物屋で「隣の肉屋のおばちゃんどこいったん」って聞いたら、もう前から閉まっとんでと聞かされて。

めっちゃ後悔したね。一番印象に残ってるおばちゃんやのに、その人にだけ恩が返されへんかったんや。

あとの人、全部返しに行ったよ。煙草も、井村屋のあずきバーも相当盗んどった。

もう盗み倒してたから子供の時。万引き超えて億引いたかも。

万引きしたお店全部、煙草買うて一万円渡して走って逃げるとかしとったわ。

「ちょっとあんた、何やのこれ、おつりないわ、こんなでっかいの」言われて走って逃げんねん。

コロッケを盗んだのに明日も来るんやでって声かけてくれたおばちゃんにだけ、恩を返せなかったことがほんまに後悔や。

後悔はマゼラン級。いよいよヴァスコ・ダ・ガマまで行ってるかもしれないわ。大後悔や(笑)。

 

「明日は我が身」と、昔は全部きちんとわきまえた社会があったんや。

だからいろんなこと継承してたし。頑なに守らなって守ってきたし。

それがもう今は、みんな金儲けに目がくらんで、むちゃくちゃになってしもうたな。

今万引きしたら、すぐ捕まって、警察呼ばれちゃう。

だからほんまに、一人ぼっちの子供は助からへんよな。

あのおばちゃん、ほんまにめっちゃ渋かった。

もう一つ別の肉屋さんでな、またまた揚げたてのコロッケ盗んで二回目に捕まったわ。

「店の中の溝を洗い~あんた」言うて。

親父にボロカス怒られたけど、そこの人も言うてくれたんは「言えや。やるから」。

溝を必死で洗い終わったら、コロッケを大量に袋に入れて「持って帰れ、駄賃や」と。

ほんま涙ちょちょ切れたわ。

揚げたてコロッケが大好きやった。

それを食べたら自分の中でものすごい贅沢な気分やったな。

三つの時から一人でパンとか冷たいもんばっかり食っとって、あったかいものを食べたことがなかったので。

引用:にぎやかだけど、たったひとりで 人生が変わる、大富豪の33の教え

この話、とても好きです。

誰も、幼いころの丸尾少年をせめていない。

いや、盗んだことに対しては”怒る”姿勢ではあるけれど、丸尾少年をあたたかく包み込みながらなんですよね。

そうさせるアニキの愛嬌があったのだとも思う。

自分はものすごい人懐こかったと思う。

犬でいうとマルチーズやったんやな、やっぱり。こっち振り向いてくれるまで尾っぽふってその場にいるとか。

おばちゃんもおっちゃんも気になるよ。

「どうしたんや、僕、おかあちゃんは?」とかいろいろ聞いてくれるようになるよな。

聞いてもろうたらこっちのもんや。お話ができるやん。そうやろ。打ち明けることができる。

そうしたら打ち明けまくります。ほんま、ひよこみたいやったわ。

これが、家族がいない丸尾少年の生きる術ですよね。きっと。

 

一言でいえば「悪ガキ」なんだけれど

それには家族的な背景などがあったわけで、なんとなくでも周りの人たちはそれをわかってた。

だから、アニキを「敵」にはしなかったのだとおもう。

これが、今のアニキの原体験。

 

中卒でディスコで働いていた時、やっかいな怖いヤクザがお店に来た時には

どうやって機嫌よく且つお店やほかのお客さんに迷惑をかけずに他の店に行っていただくかを考えて実践したり

まかない夫をやっていた時も、どうやったら少ない材料で相手を喜ばせられるか?を工夫したり

アニキの根本にあるのは「相手を想う」「とにかく尽くす」というのがあるんですよね。

なおかつ、”ビジネスとして”という視点を忘れていないから今のアニキがいるのかなとも感じました。

それも、誰かを助けるために”お金は必要”という視点で。

日本が忘れてしまったことを取り戻す。

アニキの本を読んでいると、アニキは日本が大好きなのだなぁと感じることが多い。

でもそれは昔の懐かしい日本であって

大好きな日本だからこそ、今の日本に対しては警鐘を鳴らしているのだと思う。

人間って普通だと貸し借りで考える。やってやったとかね。

貸し借りを言わない人とそれを言い続ける人と、どっちに仲間が多く、どっちがよりお金持ちで豊かかなという事を考えてみたら、僕いろんな人、何万人とみてきたけれど

やっぱり人の事ばっかり思ってて、人の事ばっかり思ってるおっさんが、豊かなんや。

なんで、おっさん豊かなんやろうってずっと研究してきたんや、ほんま。

結果やっぱり、1ページ目に載ってたんや。人の事ばっかり考えとるからなんや。

そんな人の事を考えている人間に社員だったり、仲間だったり、いろんな人が金くれって言うかなって話なんや。

言いにくいよな、そんな先輩に。

僕の事ばっかり考えてくれてるっていうおっさんに、さらに金くれって。言いにくいよね、さすがに。

~中略~

人情だけは絶対何としてでも取り戻したい。

すべての日本国民にあったものが失われてきたんや。うまいことちょっとずつ掠め(かすめ)取りよるねん。

天才や、ほんまに。営利を目的とした人たちが掠め取ったんや。

鋭利な刃物とはよう言ったもんや(笑)

 

手塩にかける。人を育てる。

アニキ邸を訪れた方が、アニキに「人を雇うこと」について相談した時の回答の一文。

手塩にかける。人を育てる。それは日本精神やし、先輩がずっとやってきてくれてたからこそ、

今があるように、職人が生きてるように思うんや。ほんとに。

ということは、育てることを前提にするならば、出来る人を雇用する必要ないんや。

そしたら、その人に世話になった。その人に一人前にしてもらった、そんな奴が裏切るかな。

裏切らないねや、そもそも。

出来る奴雇用するから、優等生雇用するから、台無しにしてきたんや。

あなたのお陰で僕は出来るようになったんじゃないと考えるからや。

ところが、この人のお陰で僕は一人前になれたと思われたら、給料なんかなくてもいいのや、極端な話。

ほんとそうやった。僕がそうやったもん。

それを教わったから、それを継承したいだけや。それでも給料だしてるけどな。

それで給料出さないわけじゃないけど、それは大切ですよ、思いは。そやんな。

 

手塩にかける。人を育てる。って根気がいることですよね。

即戦力!いい人材を!

すべてではないけれど、大企業であればあるほど、人材を選べるからそんな雰囲気があるのではないかと思います。

”じっくり人と向き合う”ということができれば、大切に想えば、仲間になり、会社がまとまっていくのだと思いました。

おわりに

バリ島のアニキ邸には、毎日入れ替わり立ち替わり、日本からお客さんが来ます。

私がアニキ邸に到着した時も、ちょうど帰る人たちが何人かいたし、家の中に入ると数名の日本人がいました。

本を読んで会いに来た学生さんや社会人の方、経営に悩む社長さん、アニキの幼少期からの友達

そして吉本ばななさんやアントニオ猪木さんなどの有名人も。

 

私もその中のひとり。

 

明け方近くまで来客者と話をするアニキ。

 

それが毎日毎晩・・・・・・・・・!!!

 

出来ないですよ、なかなか。想いがないとできない。

 

そんなアニキの想いに触れる一冊でした。

 

最後に、吉本ばななさんの文を少し紹介しておわります。

長い目で人間というものを尊重した考えがそこにはひとつも入っていない。

このままずっとこの状態が続くなら、日本はほんとうに滅びるだろうと思う。

今自分が住める分があればいい、人のことは関係ない、

祖父母も親も子どもも孫もつながっていない、自分、自分、自分。

でも自分のやりたいことはわからない。そういう人ばっかりのロボットばかりみたいな世界。

 

昔の懐かしくてあたたかい雰囲気、まだまだ残っているところもあると思います。

私が移住した大分県竹田市もそのひとつ。

どうにかして残してこうと思う。だって、それが私の好きな日本でもあるから。

 

以上、オクユイカ(@Saba0m)でした。

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おく ゆいか。
介護福祉士→発達障害関係のNPO法人→特別支援学校教諭→退職して青年海外協力隊etc...
”みんな違ってみんないい” を実現する社会をつくるために、NPO法人TetoCompanyを設立し
大分県竹田市にて地域の交流拠点や福祉事業を運営。
小心者でおっちょこちょい。
LGBTサポートチームココカラ!共同代表。LGBT当事者として大分県内で講演活動等もしてます




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