【共生型デイサービス】赤ちゃんから高齢者まで一緒のメリットとデメリット




こんにちは。オクユイカです。

私がずっと感じてきた疑問。もしかしたら福祉現場にいるかたなら感じたことがあるかもしれません。

障がい者も高齢者も同じ人間なのに、なぜ同じ場所で過ごすことができないの?

「分ける」から「差別・偏見」が生まれるのでは?

もしも自分が認知症になったら施設に入るしかないのか・・・。

障がいのある方が一か所に集められて生活するのってどうなの?

 

場合によってはわけることは必要かもしれないけれど、私は分けすぎたことによってせっかくの

「一人一人のちから」を失ってしまうのではないかな?

「相手を受け入れる・認め合う」というチャンスを捨てているようなものではないのかな?

 

そう思っています。

 

それをどうにかしたい!と思っていろいろ考えていた時にたまたま知った「富山型デイサービス」

富山型デイサービスは赤ちゃんからお年寄りまで、障害の有無に関係なく一緒にすごすことができるデイサービス。

富山型デイサービスがもとになり、2018年度から「共生型デイサービス」という名前で全国で実施できるようになります。

 

私の目標は「インクルーシブ地域」を竹田につくること。

 

何年も前から教育現場では「インクルーシブ教育」という言葉が謳われていて(福祉だとノーマライゼーション)

インクルーシブを日本語にすると「包括」「包み込む」というような意味。インクルーシブの反対語は「イクスクルーシブ」で「排除的、排他的」という意味なんです。

一部の人を追い出したり、排除したりという現状があるから「インクルーシブ教育」という言葉を謳う必要があると、私は解釈しています。

地域も同じ現状があるんじゃないかな・・・。

 

以前ブログに書いた石川県の「行善寺」の取り組みも、インクルーシブ地域をつくる という私の目標に近いので感動が強かったです。

そんな、富山型デイサービスの現状を学びたい!と思い「富山型デイサービス起業家育成講座」というのに参加。9月ごろから計5回、富山で研修を受けていました。

また、7月頃より見学でお伺いした県内の富山型デイサービスで、ひょんなことから働くことになり現在も所属している状態です。

 

これいいなぁ!と思って学び始め、富山型デイサービスで働く中で、メリットとデメリットが見えてきたので記事にしようと思います。

富山型デイサービスとは

三人の看護師が退職してスタートしたデイサービス

富山型デイサービスは、1993年に惣万佳代子さん、西村和美さんら3人の看護師が「このゆびとーまれ」という民間のデイサービスをはじめたことがきっかけで広がったデイサービスの形です。

元々、赤十字病院の看護師をしていた惣万さん。退院許可が降りても家に帰ることができず、泣いている場面を沢山みたそうです。

「家の畳の上で死にたい」そう思う患者さんと、それができない現実に疑問を感じ、看護師を退職。

地域に戻れる場所をつくろう!在宅でケアができるようにしていこうとはじめました。

富山型デイサービスの特徴

看護師が対象とする患者さんは、障がいの有無や年齢等に問いません。だから最初から誰でもオッケーという形にしたそう。

赤ちゃんからお年寄りまで。障がいの有無に関わらず、地域で共に生きる・暮らすことができるかたちが、富山型デイサービスの特徴です。

 

本来であれば「障害福祉」と「高齢福祉」は縦割り。制度も違うので同じ場所で過ごすのはダメ。

ですが、基準該当という形で、制度を超えて同じ場所で過ごすことが可能になっています。

富山型デイサービスというのは単に富山発祥だからというだけではなく、そんな当時の富山市の行政の柔軟な対応も含めて「富山型」というんだということを「このゆびとーまれ」の西村さんがおっしゃっていました。

通常であれば、行政に「一緒の場所でしたい」って言ったら普通は「ダメです」と言われます。

実際に私も富山型がしたいと思っていて、とある市に尋ねたところ、「過ごす場所は別にしないとできない。交流という形であれば大丈夫」と言われました。

※自治体によって対応が違う。

ちなみに、なんで大分県由布市には県内初の富山型デイサービスがあるのかというと、その時の市長がたまたま「富山型デイサービス」というのを知っていたからなんだそう。

立ち上げまでスムーズにいっただけでなく由布市で事業を立ち上げる場合は補助金も受け取ることができます。

 

この「富山型デイサービス」が長年してきた取り組みや成果が評価され、「共生型デイサービス」を作っていこうという案が国から出て現在に至ります。

2018年度4月には「共生型デイサービス」に関する具体的な規定等の詳細ができる予定です。

 

2018年以降は、「共に一緒に・・・」という形のデイサービスがあらゆる場所でうまれるかもしれませんね!

ここからは、「共生型デイサービス」という言葉に変えてメリット・デメリットを書きたいと思います。

共生型デイサービスのメリット

一緒の空間で過ごすことでの相互作用

たとえば認知症の方。認知症になったからと言って全てができなくなるわけではありません。

赤ちゃんをみてあやしたり、子どもの存在が近くにあること・声が聞こえてくることで元気になったりします。

障がいのある方だって同じく、できることが沢山あります。

高齢者のかたにお茶を運ぶ等々。

自分がした行動を誰かに認められる・褒められるということは生きる力になります。

 

施設とかだと、受け身になりやすい方たちが、色々な人とのかかわりの中で自ら動き褒められるという経験って自己有用感を高めるのにもとてもよいですし、

色々な中で過ごすことで自己肯定感も高められるのではないでしょうか。

いつまでも地域で過ごすことができる。

地域の中にあるデイサービス。そして赤ちゃんからお年寄りまで。障害の有無に関係なく利用することができます。

住み慣れた地域で、なじみのある人たちと関わり合いながら生活ができる・・・双方にとって大切なこと。

また、「看取り」もしている富山型デイサービスもあります。(看護師がいると強い~!)

 

「死」=「病院」と言うのが当たり前になりつつありますが、病院で最期を迎えたいという方はどのくらいいるのでしょうか。

最後は在宅で。地域で。住み慣れた場所が良い。というかたが多いのではないかと思います。

いつもの生活音や子どもたちの声、におい等々。それらに囲まれて最期を迎えるのって憧れませんか?(私は病院が苦手です。笑)

看取りまでできるデイであれば、地域で最期を迎えることも可能です。

また、障がいのある子を介護していた親が高齢になって介護ができなくなった場合、子は「障害者施設」親は「高齢者施設」のように離れ離れになる現状などがありました。

でも、富山型デイサービスであれば親子が離れ離れになることなく、これまで通り住み慣れた場所で過ごすことができます。

柔軟な対応ができる

「急にお通夜が入り、認知症のおばあちゃんをどうしよう?!」

「急用ができて子どもを預かってほしい」

急用時に、「利用する際はまず手続きが必要です」なんて言われても困りますよね・・・。

富山型デイサービスの基本は、どんな人でも受け入れる。断らない ということ。

一時的に預かりなども可能です。

「差別」がうまれにくい

今関わっている湯布院の富山型デイサービスで仕事をしている時のこと。

あるご高齢の方が、大きな声を出す障がいのある方に対して「うるさい!」と声を出して怒ることがありました。

でも、これって相手を知る「チャンス」。

なんで声をだすのか説明することもできるし、毎日会っていることで、関係ない存在から一緒にすごす仲間 になっていきます。

相手を知る機会を失うと、差別はおきやすいと思うんですよね。

お互い完璧じゃないけど、認め合おうよ! 気負わずにそんな雰囲気がうまれる共生型デイは素敵だと思います。


共生型デイサービスのデメリット

専門性が問われる

一番に感じたのは「専門性」について。

たとえば障がいのあるお子さんを放課後等にあずかる場所をつくる「放課後等デイサービス事業」というのがあるのですが、

民間がビジネス目的で参入するようになったことも関係し、『支援サービスの質の低さ』が課題になっています。

 

最初に富山型デイサービスのことを知った時にも「これいい!!」と感動したのが半分。

もう半分が「放課後等デイサービスの内容は?」「自閉スペクトラム症の方に対する支援はできているのだろうか?」という疑問でした。

その疑問を解きたくて富山型デイサービスについて勉強することにしたんです。

視覚的支援はあるのかな?

構造化されているかな?

そんなのを見たくて聞きたくて富山の富山型デイサービスに見学に行きましたが、見る限りではされていませんでした。

昔、自閉症関連のNPOで一緒に働いてた親友も宮城から呼び一緒に見学したのですが、その点については一緒に「どうしているんだろう?」と疑問が残ったまま終わりました。

※している場所はしているかもしれません。私の個人的な感想です。

保育、療育、認知症のかたに対する対応などなど、基本的な知識があるのと無いのでは利用される方の居心地が全然違うと思います。

かと言って、全てを学ぼうとするとスタッフの負担が大きくなってストレスがたまるのかなぁ~・・・?とか・・・

いろいろ考えちゃいました(^^;)

スタッフや代表次第で雰囲気が変わる

これは富山型デイサービスだけでなく、どこにでも言えることなのかもしれません。

富山型デイサービスはよい意味で「いい加減」なんです。

すごーーーーーく、ゆるいです(笑)

利用される方が負担に感じないために、わざとそうしています。

ですが、それができるかどうかはスタッフのセンスもあるのかもしれません・・。

富山型デイサービスと一括りにされますが、その在り方は事業所ごとに異なっていて、それぞれのカラーが出ているように感じました。(おもしろかった!!)

また基本的にはルールがありません。ルールがない分、一人一人が考えて行動する力が必要だとも思いました。

運営が厳しい

デイサービスの運営の仕組みは利用者一人あたり1日○○○○円と決まっていてそれが公費で支払われることで運営やスタッフの給料が支払われます。

通常は、「障害者」と呼ばれる方のデイサービスの場合、利用者の障害の程度に応じて受け取ることができる公費の金額が異なります。(重度だと人件費もかかるからかと)

でも、現状の富山型デイサービスは、障害の程度に関わらず、事業所に入るお金は一定の金額且つ、通常より低めに設定されています。

そうなると、高齢者デイサービス・障がい者デイサービスと分けた方が事業所の収入は増えるということになります。

働く人の不足と経営が難しくなったことが理由で、富山で事業所を閉鎖しているところも実際にあるとのことでした。

 

共生型デイサービスの今後

「適当さ」「いい加減」さをメリットと捉える人もいれば、批判を受けることもあるかもしれないけれど、選ぶのは利用される方やその家族。

自分の家族、もしくは自分が通う時の選択肢が一つ増えるということはとてもよいことだと思っています!!

デメリット・メリットをみた上で、「色々な人が同じ場所ですごす空間づくりって大切」と改めて思っています。

だからそんな場所をどうしても作りたい。

自分自身が感じたデメリットはこれから自分が居場所を作った時の課題!そう思って今、早期療育等について学んでいるところです。

2018年の春にどのような形で「共生型デイサービス」が誕生するのでしょうか。

少しドキドキしています。

ではでは、オクユイカでした。

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おく ゆいか。
介護福祉士→発達障害関係のNPO法人→特別支援学校教諭→退職して青年海外協力隊etc...
”みんな違ってみんないい” を実現する社会をつくるために、NPO法人TetoCompanyを設立し
大分県竹田市にて地域の交流拠点や福祉事業を運営。
小心者でおっちょこちょい。
LGBTサポートチームココカラ!共同代表。LGBT当事者として大分県内で講演活動等もしてます




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