こんにちは。オクユイカ(@Saba0m)です。
風と雑木林と建築家夫婦の物語「人生フルーツ」
津端修一さん(90歳)と、英子さん(87歳)の夫婦の生き方を追ったドキュメンタリー映画を見てきました。
予告編はこちら。
この映画がとても、とても良かったのでブログに書きたいとおもう。
※ネタバレ含むので、注意!
目次
人生フルーツのあらすじ
老夫婦の当たり前の日常を映した物語。
風が吹けば、枯葉が落ちる。
枯葉が落ちれば、土が肥える。
土が超えれば、果実が実。
こつこつ、ゆっくり。
人生、フルーツ
樹木希林さんがナレーションをしているこの映画の中で、何度か登場するこのフレーズ。
これが、まさに修一さんと英子さんの送っている生活です。
場所は、愛知県春日井市にある高蔵寺ニュータウン。
この高蔵寺ニュータウンの一角に、畑と手作りの雑木林を作って40年。70種の野菜と50種のフルーツをコツコツと育て、丁寧な暮らしを大切にしながら生活しています。
見たい!と思ってから知ったのだけれど、二人が住む高蔵寺ニュータウンはは14歳まで育った地元から10分程度の場所。
だから、昔よく通っていた場所や、通ってたテニススクールもうつってたりして私にとっては思わぬプラスの楽しみがありました。
四季折々、キッチンガーデンを彩る70種の野菜と50種の果実が、妻・英子さんの手で美味しいごちそうに変わります。刺繍や編み物から機織りまで、何でもこなす英子さん。
ふたりは、たがいの名を「さん付け」で呼び合います。
長年連れ添った夫婦の暮らしは、細やかな気遣いと工夫に満ちていました。
そう、「家は、暮らしの宝石箱でなくてはいけない」とは、モダニズムの巨匠ル・コルビュジエの言葉です。
かつて日本住宅公団のエースだった修一さんは、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきました。
1960年代、風の通り道となる雑木林を残し、自然との共生を目指したニュータウンを計画。
けれど、経済優先の時代はそれを許さず、完成したのは理想とはほど遠い無機質な大規模団地
。修一さんは、それまでの仕事から距離を置き、自ら手がけたニュータウンに土地を買い、家を建て、雑木林を育てはじめましたーー。
あれから50年、ふたりはコツコツ、ゆっくりと時をためてきました。 引用:人生フルーツ公式ホームページ
雑木林や畑のいたるところに、修一さんが木で作った看板。その看板がね、とっても遊び心があって、クスってなっちゃう。

黄色の色なのは、英子さんが分かりやすいように。
庭だけでなく、部屋の中にも!
”ガスがついてますよ、忘れないで!” とか、ぶつかりそうな角にも修一さんお手製の「注意マーク」。
そこに ”アー!イタイ!”などユーモアセンスたっぷりの言葉が添えられています。
”彼女は生涯で最高のガールフレンド”
修一さんが、物語の中で嬉しそうに言っていた言葉です。
映画を見ている限り、修一さんの性格は天真爛漫で破天荒。
それをね、いつも温かく見つめて支えている英子さん。
お互いがお互いを信頼し、支え合い、認め合い、想いやりを忘れずに生活されている。
それが当たり前のようにできているから、見ていて心があったかくなりました。
「僕、他のがいい」という修一さんに、「しゅうたんは、金のスプーンが好きじゃないからね」と言って木のスプーンにかえるシーン。
英子さんが修一さんの髪の毛をカットするシーン。
修一さんが食器を洗っていると、「あら、かわるわよ」と英子さんが声をかけながら、修一さんの背中にそっと触れる場面。
「なんでも自分でやってみると、見えてくることがあるんだ」という修一さんの考えを尊重して共に生活している姿。
二人が、お互いの苦手さを補いながら、尊敬しながら生きているのが伝わってくるし、英子さんの愛情にあふれた姿がたまらなかった。
彼女は生涯で最高のガールフレンド って言いたくなるくらいの英子さんの存在なんだろうなって思う。
不便で、手間ひまかかる暮らしを楽しむ

※前売り券買った時にいただいたポストカード
英子さんと修一さんは、コツコツ野菜を育てます。
足りない食材は月に一回電車に乗って名古屋へ。
いつものお店で新鮮なものを購入します。
「コンビニには行ったことない。信頼できる人から買うの」と英子さん。野菜や使う材料にこだわって料理をします。
そして、修一さんは、食べた後、お店の方宛てに、どうやって料理して食べたかとか感謝の言葉をかわいい絵入りのハガキに書いて送ります。
英子さんはおやつも手作り。食べるものにはとても気をつかっています。
杵と臼でお餅つき、はしごで屋根にのぼる修一さんの姿・・・・。落ちないかな、大丈夫かなって見ていて少しヒヤヒヤするほど、重労働でも、できる限り自分たちでします。
”なんでも自分でやってみると、見えてくることがあるんだ”
その言葉通り、生活の中に手作りのものばかり。
この二人には、きっと私が見えていない世界が見えているのかなぁと思いました。だって、私は面倒くさいからこっちがいい!って楽な方を選びがちなんだもん。
この映画があることは偶然知ったのだけれど、知った瞬間から「絶対見る!」と決めて、それから、はじめて前売り券というものを買いにいきました。
一か所目は、残り一枚・・・・。恋人さんと行きたかったので、もう一枚をもとめて違う場所へ・・・。そこも最後の一枚!

この映画を見たいと思ったのは、自分がしたい暮らしを実際にされているご夫婦だと感じたから。
世の中はどんどん便利になっていって私自身、その恩恵を受けてはいるものの、人間はなんだか大事なものを忘れて行っているような気がしてならない。
だけど、そんなこと言っても世の中は世の中。
あとは自分がどう生きるか、芯を持って行動することだなって最近はそう考えるようになってます。前は嘆いてばかりだった。
この映画を見ていた時に、違和感を感じなかったのは、”生きる”ということに手間暇かける
これを実践されているからなんだって思いました。
手間ひまかけて作った野菜や果物で、ゆっくりと時間をかけて料理をすること。
たくさん実った野菜や果物を、大事な人におすそわけすること。
相手を想って丁寧に手書きのはがきを送ること。
モノづくりの本質、人とのかかわり方の本質、生きるということの本質をぶらさないこと。
映画の一場面、一場面が魅力的な映画だった。
長年連れ添ったパートナーとの別れ

物語の中で、修一さんが亡くなります。
なんともいえない場面でした。一緒にコツコツゆっくり生きてきたのに、ある日突然一人になるなんて。
それでも、それを受け入れて、亡くなってからもきちんと料理をし、修一さんのお骨が置いてあるところに料理を持っていきます。
60年以上も一緒にいた人が亡くなったら・・・私は毎日の生活を送れる気がしないです。でも、これまでと同じように生活をする英子さんを見て、老いを受け入れてくってこういうことなのかな・・・?とそんな気がしました。
切なかったなぁ。
おわりに
この映画は本当におすすめです!!
おすすめした友人も見てよかった!と言っているくらい。
映画を見る中で、自問自答をする場面が何度もありました。
お金を持つことが幸せ??権力を持つことが幸せ??それとも名誉??目立つこと??
この夫婦が大事にされていたのは、自分の大切だと思うことを思いっきり大切にするということ。
なんて豊かな生活なのだろうと思った。
だいぶ歳をとったと感じることもあるけど、私は、人類が生きてきたうちの29年間しか生きていません。
私は何も世の中のことなんてわかっていません。
生きる上で何が大事なのかも、はっきり見えていません。
歳を重ねることに気がつくことも沢山あるのかなぁ・・・
遠回りしながらでもいいから、この夫婦のようになれたら嬉しいって思いました。
どう生きたいのか、どう死にたいのか、どうやって大事なことを貫いて生きるのか、考えさせてくれる映画はやっぱりいいなぁ。
すごいよかった。
夫婦の物語だったので、恋人と見ることができて良かった。大切な人と見にいってほしいです。
映画情報
人生フルーツの公式サイトから、劇場情報がみれるので、参考にしてくださいね(^^)
人生フルーツのふたりのほん
あしたも、こはるびより。
つばた家の暮らしの様子や、英子さんのレシピ、生活の工夫などが写真入りで載っています。
映画を観終わって、買いたい!って恋人に伝えて買いました。(上記に載せた、英子さんと修一さんのツーショットもこの本のもの)
保存版の宝物の本になった!
ひでこさんの、たからもの。
![]() | ひでこさんのたからもの。 つばた 英子,つばた しゅういち 主婦と生活社 2015-11-20
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ふたりから、ひとり。
これは、修一さんがなくなってからの本。上の二冊が読み終わってから買おうと思っています。
![]() | ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~ つばた 英子,つばた しゅういち 自然食通信社 2016-11-26
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私も田舎に暮らし始めました。高齢化率44パーセントの大分県竹田市の地域おこし協力隊として活動しています。
竹田に移住してから、自分の時間を大切にしつつやりたいことに対して真っすぐに向き合えるようになったような気がしています(^^)
以上、オクユイカ(@Saba0m)でした!!
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