こんにちは。オクユイカです。
認知症っていう言葉をご存知でしょうか。知らない人はもういないのではないでしょうか・・。
私の母は「認知症にならないように韓国語の勉強をしている」と言っているし、「ボケ防止に計算をしている」とおっしゃっている母と同じ年代の先輩もいる。
19歳のころ、私は介護福祉士の専門学校に通いながらグループホームのような場所で夜勤のアルバイトをしていました。
当時、介護福祉士の資格はまだ持っていなかったけれど、高校時代にホーム―ヘルパー二級の資格を取得していたので、その資格を使って。
認知症の方、そうでない方、歩行が困難な方合わせて、12名を、夕方5時~朝8時まで仮眠なしで一人でみてた。
(この勤務体制っていいのか?!10年前だからまだ体制が整ってなかったのかな・・)
当時の日記が見つかり、読み返すと、若いなぁとか社会のことをまだわかっていなかったんだろうなぁと思いつつも、大事なことが書かれていて、自分自身の身が引き締まるおもいになりました。
といわけで、認知症介護の現場のことが伝えられる気がするので、ブログに残しておこうと思います。
もう10年も前の話!!
当時思ったことそのまま書きうつしただけなので、当時の不満とかも多少入ってます。笑
(日付や名前は多少変えています)
目次
認知症介護の現場から
「肌がきれいですね」
1月10日
今日の夜勤で、高迫さんという方が入所された。病院では、つなぎ服を着せられて、拘束もされていたらしい。
ありえないでしょ、病院。病院にも介護士を沢山いれれたらいいのになぁ・・・。
夜は2:00迄、多弁(口数が多くよくしゃべる事)、徘徊が続いて、ちょっと大変だった。
他者の部屋に入って大声を出して他者を起こすもんだから苦情がくる。
でも高迫さんの行動をとめると、高迫さんは何故かわからないわけだから、余計興奮する。
高迫さんは肌がきれいだ。
私が「高迫さん、肌がきれですね」と言うと、不穏だった高迫さんが、
「そんなことないわよ~クリームもぬったことないのに!」
と照れながら、とてもいい表情になった。
これは使える!!と正直思った。
その晩は3回ほど、この方法で高迫さんは喜んでくれた。
介護士は認知症の方の世界に合わせる演技力が必要で大切だと思った。
家の中や外をうろうろと歩き回ること。一見、ただうろうろしているだけに見えるが、本人は何か目的があって動いていることが多い。
寒かったからパンツを被ったのかなぁ?
1月17日
高迫さんは、夜間のみリハビリパンツに尿とりパットをつけている。夜間に、尿とりパットの交換を数回行う。
尿とりパット交換の時、私が「さむいのに本当にごめんなさい」といいながらしていると、震えているのにも関わらず、「いいよ、いいよ、いっぱい着ちょるけぇな、さむくない」と、にこやかに私に言ってくれた。
真冬の明け方のおむつ交換、寒さでだろうか、鼻が赤くなっていた。
そして・・・・
頭には、リハビリパンツをかぶっていた。
私は驚いて、つい
「あらっ、これパンツや!!!」と言ってしまうと、高迫さんも
「え??パンツ???なんでやろか?」と言った。
「たぶんねぼけちょったんやわぁ、私もたまーに寝ぼけてへんなことするわぁ」と言い、
私もリハビリパンツを被ってみると、高迫さんも大笑いをしてくれた。
二人でしばらく大笑いをし、楽しかった。
介護をして自分に対して悔しくて泣いた日
1月26日
ヨシダさんは自分で歩くことが難しい。だけど認知症があるので、そのことをあまり理解していないようで何回も何回も
「さ、ご飯の準備しようか」と立ち上がり歩こうとして転ぶ。
ヨシダさんに寄り添って一緒に料理をするのが一番だが、夜中なので一人につきっきりは難しい。
他者介助中に1人で立ち上がり、転倒してしまったこともある。
何十回も優しく伝えていたが、さすがに何人もの人が徘徊していて対処していると、つい、遠くで立とうとしているヨシダさんに
「ちょっと立たないでください!あぶないですよ!!」と強く言ってしまう・・・。
当の本人は、
「さちこーーさちこーーーーご飯はどうしよんのかえーーー」と大きな声で叫んでいる。私の声は全く届いていない。
リハビリパンツを脱ぎだしたので、「トイレに行きますか?」ときいても「トイレは行かん。これ脱ごうと思って」というだけで、よくわからない。
「なんで脱ぐんですか?」ときくと「自分でする」みたいな感じ。
その繰り返し。私も意地になってしまったと反省している。
(今思うと、リハビリパンツじゃなくて普通の布のパンツにかえたかったのでは?と思うが当時はわからなかった)
一度、トイレに行って頂いたら落ち着くのでは?と考えたが、大間違いだった!!
「かえれ!!かえらんか!!心配するけんもう帰れ!!」
と言い、私が近づくだけで怒り、頬を何度か平手打ちされたりで、私もかなり落ち込んで涙が出てきた。
認知症のせいでこうなっている というのは理解しているけれど、あれだけ罵声をあびせられて叩かれたら・・辛い・・。
ヨシダさんに、寝室で横になってもらった後、ホールで鼻水垂らしながら泣いてしまった。
すると、そこに山田さんが来た。
山田さんも認知症の方。子どもに戻ったかのような感じの認知症で夜間はほとんど起きている。
その山田さんが、私を見て
「な、なんで、なんで、泣いてるんか!どうしたんか、なんで泣いているんか、笑え!!」
と私を元気づけようと必死にそう言った。
本当に心配して、必死で私をどうにかしようとしている山田さんに申し訳なくなったけど嬉しかった。
その「笑え!!」の声にとても元気が出た。
しばらくして、ヨシダさんの近くに行って謝ってみた。するとヨシダさんは
「さちことケンカしたんよ。帰れっていってやったんじゃ」と落ち着いて話をされた。
さちこさんはヨシダさんの娘さん・・・どうやら私を娘さんと勘違いされていたようだ。
私が「さちこさんとよくケンカするんですか?」と聞くと、
「よくはしないけど、たまーにな」
・・・私がケンカの相手だとは忘れているが、ケンカしたという印象は残っていて、二時間後、他の利用者さんにもさちこさんとケンカしたことを話していた。
私が泣いたのは、自分の対応がダメだったということと、どうしたらいいかわからなくなったからだ。
認知症を持つ人を家庭で在宅介護している人は大変な想いをしていると思う。
大切な家族でも、怒ってしまうこともあると思う。よい距離を保ち、仲良くいられるのであれば入所でもいいと思う。でも・・・家族は近くで住んでほしい。
神社の鳥居の効果はいかに?
2月2日
今日の夜勤で、どこでも放尿をしてしまう酒井さんの部屋に、神社の鳥居の絵を描いておきました。
鳥居におしっこしたらバチがあたると、思っている年配の方も多いらしいから。
(これは、学校で○○先生が言っていたのを思い出してパクりました。)
いつも、自分のベットの前に放尿されるので、そこに置いて
「酒井さんが、いつもお参りできるように、特別におきました!!」と言って、その鳥居に二人で拝みました。
・・・といっても、紙に赤ペンで鳥居をかいて「神社」とわかるように書いただけなのですが・・・。
日中の酒井さんは、とにかく水をのみます。
のむ!!
のむーーー!!!
満腹中枢に問題があるので、空腹感が分からないのだと思う。水だけではなく、リハビリパンツの中身を食べていたこともある。
飲むのをおさえようとしても怒るし、折り紙をして気を紛らわしたり、カーテンをあけるお手伝いをしていただきますが、持ちません。
それだけ飲んだらねぇ・・やっぱり出るでしょ。
家族の話によると、家に居る時は、一晩に200回トイレに行ったことがあるとのことです。
鳥居を置いた日の夜、30分ごとに様子を見に行ったり、トイレに誘うので、夜間帯の放尿はなし!
明朝・・・・この時間帯は、他の利用者様が起きてくるので、なかなか様子を見に行けません。
で・・・鳥居の結果はというと・・・
ベットの前(鳥居があるところ)にはしていませんでした。
すごいぞ!とりい!!
と思ったら・・・部屋のドアの前におしっこが・・・。
鳥居、ダメだったかぁ・・・と思いながら片づけをしていると、酒井さんが来て
「あら?なんで濡れているの?沢山濡れてる!!」と一言言って、リビングに戻っていきました。
ちょっと、片付けをしている自分が孤独でむなしくもなりましたが、認知症の利用者さんと向き合う大切さ、楽しさがつくづく好きな自分なんだろうな~と思いました。
・酒井さん自身がそこを「トイレ」だと思い込んでしまっている。
・トイレの場所がわからなくて仕方なくその場所にしてしまった。
・おしっこを我慢する機能的な問題(膀胱の筋肉の問題)。
等ではないかと思います。そう考えたら支援の方法も変わっていましたはず・・・(^_^;)
———end————
まだまだ日記はあるけど、だいぶ長くなったのでここらへんで今日はやめとこ・・・。
それにしても、やっぱり現場は自分自身を成長させてくれる場所だなぁと改めて思う。
現場はほんとに波乱万丈!!!!!笑
認知症には種類があって症状もそれぞれ違う。
認知症には種類があります。
認知症の半数を占めるというのがアルツハイマー型認知症は女性に多い認知症。
女性よりも男性に発症が多い、レビー小体型認知症。
脳梗塞や脳出血・くも膜下出血などの、脳の血管の病気がもとに起こる脳血管性認知症。
64歳以下の方に発症する若年性認知症。
前頭側頭型認知症、アルコール性認知症、まだら認知症等・・・・・。
原因も違えば、それぞれの認知症によって特徴的な症状も違います。幻覚や幻視が特徴であったり、物の忘れ方が違ったり、感情的になったり・・・。
また、元々の人格もあるので一括りにはまとめることはできません。
だけど、大事なことは、なりたくて認知症になったわけではないということ。
そして、症状の後ろに隠れている苦しんでいる本人を見つめるということが大事だと思っています。
まだまだ未熟だったあのころ。
でも、すっごく真剣に目の前の人に向き合っていたんですよね。。。
そのころを思い出させてくれる日記でした!
日記を書くっていいかもね。
おくゆいか Follow @Saba0m
介護福祉士、NPO法人スタッフ、特別支援学校教員、青年海外協力隊を経て今に至ります。好きなように生きてるアラサーレズビアン。福祉の枠を超えた福祉を作るため勉強中。写真を普通に撮るのが恥ずかしいので、だいたい変顔しています。
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