こんにちは。オクユイカです。
私はこれまで発達障がいのあるお子さんと関わる仕事をしてきたのですが、今、支援に必須な道具は何?と尋ねられたら絶対これでしょ!
というものがあります。
それが、ipad。
子どもたちと関わり始めの頃、スマホや携帯、ipadを使って支援をすることはほとんどなかったのに今は支援に欠かせません。
発達障がいのあるお子さんの特性を知れば知るほど、使える場面が増えていきました。
特支に携わっている方であれば当たり前の内容になってしまうと思いますが・・・具体的にどうやって使えるのかを書いてみたいと思います。
※個人が特定できないように性別や場面を変える等をしていますm(__)m
目次
こんなに役立つスマホ・iPad!!
視覚的支援がすぐできる
自閉スペクトラム症のお子さんの中で、視覚優位の方は言葉だけの説明は理解しにくいです。
そのため、写真や絵を使いながら説明する場面が増えます。
・視覚優位
目で見て理解することが得意。言葉だけの説明は理解しにくい
・聴覚優位
耳から入る情報を理解することが得意。
言葉だけで「トイレに行くよ」「車に乗るよ」と伝えても伝わりにくいです。
そんな時に、トイレの絵を見せたり、車の写真を見せる等の視覚的支援をすることで、今までの頑なさは何だったの?というくらいスッと行動しはじめるお子さんも多いです。
事前に準備ができるのであれば写真を撮ったものをラミネートしておいて必要な場面に本人に見せるということができますが、急な場面ではそれができません。
そんな時に、使えるのがスマホ等のカメラ機能。
その場で撮影して本人に見せることですぐに視覚支援が可能です!
事前学習にも役立つ
新しいことや新しい場所が苦手なお子さんも多くいて、新しい場所に行くとなると
「いや!」とその場を動かなくなることもあるし、
その場所に到着した途端に不安そうになったり逃げようとする子も。
事前に見通しを持たせる支援が必要です。
どんな場所に行くのか?を本人に見通しをもってもらうためには動画が便利!
※写真の方が分かりやすい子もいますが。
支援学校では「遊びの時間」というものが授業であるのですが、ある時の単元で「ボウリング場にいこう」というのがありました。
その時にした支援が以下です。
ある男の子は新しい場所が苦手なので新しい場所に行くとなると「嫌!絶対にいかない!」の一点張り。
そのため、実際に行くボウリング場の動画を事前にiPadで撮影して、どんな場所に行くのか・どんな音がするのかをiPadで見せながら事前学習をしました。
事前学習後は、休み時間も自ら繰り返しその動画を見てたその子。
聴覚過敏もあるお子さんだったので当日はどうなるかなぁ?と心配していましたが、ボウリング場に行く前からとても楽しみにしており、ボウリング場についてからもニコニコ。
ボウリングを楽しむことができました。
お絵かき機能やアプリが役立つ
集団の中にいることが苦手な女の子。
だけど、学校では集会等の集まる場面が必ずあります。
本人が苦しさを感じているのに我慢させるのは支援ではありません。かと言って、すべての集団を避けるのはちょっと違います。
支援者は、集団の中で本人が居ることができる工夫をする必要があると、私は思っています。
聴覚過敏や視覚過敏があると、あらゆる場所から聞こえる音がとてもうるさく感じたり、見える情報が多くあって疲れやすくなります。
ですが、iPadのお絵かきに熱中すれば気持ちを落ち着かせることができるお子さんや、iPadの絵本を見ながらだと、集団の中で過ごせる子どももいます。
好きなことに熱中することで、他の余計な音や情報を遮ることができてるからかな?と様子を見て感じました。
集団の中だと、場所が確保できないので色塗りをしたくても色ペンや絵の具を出す子とはできません。
iPadであればコンパクトなのに絵具も色ペンも鉛筆も全て詰まっています。
ほんと、便利。
音声入力が役に立つ
ipadやiphoneには音声入力があります。
ある知的障害と診断されている女の子にipadを貸した時のこと。
文字打てないだろうなぁ~と思って見ていたら
”プリキュア!!”
って上手に音声入力していました。
家庭か学校で教えてもらったのか、誰かがしているのを見て学んだのかわからないけれど、予測してなかった分おどろきました。
文字がわからなくても、言葉で入力ができるスマホ・ipad。
最高です。
アラーム機能が役に立つ
学校の休み時間にある子が他の場所に遊びにいくときのこと。
その子は、”時間を確認して行動する“ がまだ身についていないので、「3時までに帰ってきてね」と伝えても難しい。
はじめは、目が離せないなぁと思いながら休み時間中もその子についていましたが、それって自立の観点から見るとあまりよくないです。
というわけで、アラーム機能を活用してみることにしました。
まずは、その子に見せながらアラームを設定。
本人の好きなキャラクターの描かれたストラップをつけてスマホを首にかけてもらい、他の教室に遊びに行くのを見送りました。
(とは言っても、最初はどういう行動をするのかわかりません。こっそり後ろからついていき、何かあった時にすぐ対応できる位置にいました)
その子の目的は、他の教室で飼われているカメ。ずっと眺めたり時々触ったりしてた(^^)
・・・時間になりアラームがなった。
だけど、「アラームが鳴る=教室に戻る時間」ということをまだ理解していないので当然のことながら初日はアラーム音を無視。
私は、たまたま通りかかった風を装って「○○くん、音が鳴ってるよ。教室に戻ろう!」と声をかけて一緒に教室に戻りました。
手助けがあった上で時間通りに教室に戻れた訳ですが、その行動を強化づけるために「音が鳴って教室に戻ってこれたね」と褒めるようにすることを数日繰り返しました。
数日後・・・
いつものようにその子はカメを見に行っていたんですが、アラームが鳴ると
カメに向かって
「もう帰らないといけないんだ!バイバイ」と名残惜しそうに話しかけていました。
でも、そうは言うものの、再び目の前にいるカメに熱中。
ここで役立ったのがスヌーズ機能。
1分後にまたアラームが無り、その子はまたハッとした様子で
「もう帰らなきといけないんだ!バイバイ」と再度同じセリフをカメさんに。
同じことを数回繰り返してやっとカメから離れることができました。
が、しかし、その教室には、その子にとって魅力的な遊び道具がいっぱいあり、吸い込まれるように他の遊び道具へ・・・(笑)
声をかけようか迷ったけれどしばらく様子を見るようにしたら、その次のアラームでハッと気が付いたような顔をして自分の教室に戻ることができました。
自分の教室に戻ってきた後、私をさがして
「おくせんせい、できた♡」って報告をしてくれました。
子どものどや顔ってかわいすぎる・・・。
大人に言われての行動では、常に大人がいる必要がありますが、上手くスマホ等を活用できれば、子どもが自分で気が付いて行動をすることができるということを、彼から学びました。
スケジュールをスマホで確認する
例えば、注意欠陥障害のお子さんは色々なところに気がそれやすいです。
「○○しようね」と私が伝えてその場では理解しても、3歩あるいたら忘れちゃうってこともしばしば。
最初はスケジュールをホワイトボードに書いていましたが、ホワイトボードを確認しに行く途中においてある物にまた気が逸れてしまう・・・。
本人にメモを渡してもすぐどこかに置きっぱなしになっちゃう・・。
と言うわけで、スマホをストラップにつけて、そのスマホにやることを打ち込んで本人につけてもらうことに。
次にやることを、支援者が伝えるのではなく「〇〇ちゃん、携帯を確認してね」と言うことで、
そこに書かれていたスケジュールを見て “あ、そっか” と気が付き段々と自分で行動できるようになりました。
他にも方法はあったけれど、この時に関わっていたお子さんには一番合った方法ではないかと思います。
スマホアプリが万能
スマホのアプリには子どもたちがハマるものだったり、学習ができる、支援に使えるものが多くあります。
【写真や絵カードを設定できるタイムタイマー】
【時計学習アプリ】
このアプリ、何年も前から入っていて日本でもマレーシアでも今の職場でも大活躍してくれてるアプリです( ゚Д゚)
気持ちの切り替えに
r.nial.bradshaw
何かのきっかけで気持ちが落ちてしまった時や、嫌なことがあって部屋から走って出ていってしまった時など、
一人で気持ちを切り替えられるのであればそのまま落ち着くまでひとりにさせればよいと思うのですが、自分で切り替えが難しいお子さんもいます。
最近実際にそんな場面がありました。
最初は遠くから様子を見守っていましたがなかなか戻ってこなかったので、本人の近くに行って、さりげなくスマホアプリで遊んでみることに。
すると私の方をチラチラ・・・。
話しかけても大丈夫かな?というところで、「ここ手伝ってくれる?」と伝えて算数アプリを一問やってもらい
「ありがとう!たすかったぁ~」と伝えました。
褒める場面を作ったら気持ちを切り替えやすいかなと思っての行動だったのですが、それがきっかけになって、その後は仲良く手を繋いで教室に戻ることができました。
(その後に、本人が嫌だったことなどをじっくり話をききました)
いつもは30分以上かかっていたのですが、この時は約10分もかかりませんでした。。。
iPadが好きなお子さんであれば、色々な場面で役にたちます。
隙間時間やご褒美として
授業をする時って、テンポが良くないとうまくいきません。
テンポが途切れると、その間に子どもたちは立ち歩いたり他のことをしだすことも。
何もすることが無い「間」が苦手なんでしょうね。
なので、どうしても待たせてしまう時間がある時には、iPadを渡していました。
また、何かを頑張った時のご褒美としてipadを使うこともしばしば。
スマホやiPadを使うデメリットはあるのか?
デメリットを挙げるとすれば刺激が強い事じゃないかと思います。
限りが無いとずーっと見続けてしまうし、飽きがくるってことが中々ない。
スマホの使い過ぎで睡眠障害の問題やブルーライトの影響があるということは忘れてはいけないことではないでしょうか。
これは子どもだけでなく私たちもですよね(-_-;)
私もパソコンの使い過ぎでよく脳みそがボーっとします(苦)
また、画面と向き合うことばかりになって他の友だちとの関わりが無くなってしまうのもどうなのかなと思う部分。
まとめ
今回書いてみた支援は、その時に関わったお子さんにマッチしてうまくいった例です。
この子には合うけど、あの子には全然マッチしないなぁということも多くって
あーでもない、こーでもないと試しながら、本人に合う方法をアレンジすることが大切だと感じる日々です。
スマホやiPadは支援者が支援をする上で使えるだけではありません。
子ども自身が上手く操作することで、お金の支払いや道案内、スケジュール管理等も自分自身でできるようになれれば、将来的に自立にも繋がっていきます。
「ITと不便さは相性がいい」ということをある講演を聞きに行った時に講師の方がおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思います。
本人のできないことや難しことは、上手くITを活用していくことで可能性がひろがるのではないかと思います。
ではでは!
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