【保育園でも視覚支援を活用しよう】~発達障害の子ども以外にも使える支援~

こんにちは。オクユイカ(@Saba0m)です。

保育士のみなさんは視覚支援って知ってますか?

発達障がいのある方の支援に関わっている方以外の方にはあまりなじみのない言葉かもしれませんが、この”視覚支援”というものは私達の生活の中にも必ずあるもので

子どもたちと関わるうえで非常に大切なものだと、私は思っています。

保育園の先生にぜひ知ってもらいたい!(^^)そんなことを思って、この記事を書いています。

保育士は多くの幼児と関わるから個別に支援はできない?

ある保育園の先生と話していた時のこと。

その先生が担当しているクラスの子どもたちは、2~3歳。まだまだ甘えたい年頃ですよね。

先生にかまってほしくて、直接「先生いっしょにたべよう」と言うお子さんもいれば、わがままを言ったり、すねたりと、ちょっと困ったアピールで、一緒にいたいことを伝えるお子さんもいるのだそう。

 

保育園の先生は一人で何人もの子どもたちと関わらなければいけませんよね・・・。

特別支援学校の教諭や放課後等デイサービスの支援、青年海外協力隊で障がいのあるお子さんと関わってきた私にとっては

その先生の話を聞いているだけで、うわぁ・・・大変そうだ・・・。と思っちゃいます。

ですが

・一人の多動の子どもから目が離せない

・なかなか全員に目を向けられない

・同じことを何度も言わないといけなくてストレスがたまる

・余裕を持って保育できてない時がある。

 

そんなような話を聞いていると、発達障がいのあるお子さんに対する支援方法をアレンジすれば保育園でも使える!

と思うこともよくあるので、今日は、その中の一つ視覚的支援について書きます。

簡単に一言で言うと

子どもたちにわかりやすく伝える支援方法です。

私達の生活の中にもある視覚支援

発達障害関係の研修などにでると必ずといっていいほど出てくる視覚支援という言葉。

ですが、これは私達の生活にも日常的にあるもの。

例えば、横断道路。白い線が引いてありますよね。

どこを渡れば安全に渡れるのかを、言葉ではなく視覚的に教えてくれています。

 

トイレも・・・

この目印がなかったら、トイレもれそうなとき大変!!!!

また、赤と青のアイコンになっているので男子でどちらが女子トイレなのかもわかりやすいです。

(ちなみに、余談なのですが、わたくしオクユイカは、酔っぱらうとなぜか間違えて男子トイレに入ってしまいます。謎)

 

空港で見かける、こんなのもとてもわかりやすい!

もしも、あなたが海外で言葉が通じない状況の中にいるとしたら・・・・?これらが全く無かったらどうなりますか?

きっとどこに行けばいいかわかりにくかったり、混乱したりすると思います。

もう、当たり前になってしまうと気が付きにくいですが、私たちは視覚的なものから多くの情報を得ているし、それによって行動しやすくなっているんです。

 

口で何度も言えば「わかる」は本当か?

ここからは、私のマレーシアでの協力隊活動でのことを書きます。

日本の特別支援の現場では当たり前になっている視覚支援ですが、マレーシアの私の任地では全くありませんでした。

 

狭い教室の中で、子どもたちに何回も同じことを言ってイライラしている先生の姿があります。

 

・・・・・・。

 

実は、このイライラしている先生というのは私の過去の姿。

発達障がいが、どういうものかを頭では理解していても、具体的な支援方法がわからなかった時がありました。

「なんで、何回も伝えてるのに、わかってくれないの? ちゃんとやろうとしてないんだ、きっと」

そう思ってしまっていたことがありました。

それまで働いていたNPOの放課後デイサービスの支援員の仕事と違って、学校現場というものは、ルールがあって時間も決まっていて、その時間に行動しないといけない場面が多くあるんです。

 

教員1年目に担当したのは、支援学校に入ったばかりの1年生。着席しての学習が難しかった。

”このままじゃ、子どもたちは着席もしてくれない!授業ができない”

めちゃくちゃ焦っていた時に、県外の研修や勉強会への参加、自分自身も改めて本を読んで学びなおしました。

その中で気が付いたことは

 

彼らができないんじゃなくて、自分の支援方法が間違っていたからなんだ。ということ。

 

やっぱり支援方法をきちんと学ぶと、子どもたちはできるんですよね。

協力隊活動中は、マレーシアの先生と過去も自分を重ねて見ていました(^_^;)

 

【たった、これだけの言葉くらいわかるだろう・・・。繰り返し言っていたら覚えるだろう。】

 

大人になった私たちはそう思ってしまうかもしれませんが、発達障害のお子さんは、言葉での理解が難しいですし、

発達障害でなくても小さいお子さんは、

言葉を聞く→言葉の意味がわかる→記憶する→行動する

が、まだ難しい場合も多いです。言葉の理解度も全然違います。

 

確かに、繰り返し何度も言われて、何度も繰り返したら、流れを憶えてできるようになるかもしれません。

ですが、その間、毎回大人も言わなければいけない大人も言われる子どももストレスです。

 

そして何より、子どもの “自分でできた” という体験が少なくなります。

”言われてできた(従う)” と ”自分でできた(主体的)” は大きく違います。

この、”自分でできた” という体験は 自己肯定感を高めるためにも、自立の面でも大切。

 

視覚的支援をすることによって、大人は毎回口出ししなくてよくなりますし、子どもも ”自分でできた” を感じられるようになることが多いんです(^^)

具体的にどうするのかを、次に紹介したいと思います。

具体的な視覚支援の例

マレーシアで実際に使用していた視覚的支援なのでマレー語が書いてありますが、写真つきで載せます。

順番を写真で視覚的に伝える

いま、誰の順番なのかを、赤い矢印を動かすことで視覚的に伝えています。

言葉の理解が難しいお子さんでも、見て、自分で行動をすることができます。

 

写真もラミネートをかけてマジックテープで貼り付けてあるのでお休みの子どもがいる時は外せられるようにしてます。

 

絵カードや手順表で手順を知らせる

以下の写真は、歯磨きの手順を視覚的にわかるように作ったもの。

赤い色をつけて、どこを磨くかを示しています。

まだ、導入段階なので最初は先生が手順表の使い方を児童に伝えてますが、いずれ一人でできることを目指していきます。

今は、アプリなどで、音楽に合わせて歯磨きができるものもありますよね!

あれがあると歯磨きを楽しくできるというお子さんもいるので、保育園でも上手にアプリなどを活用してみてもよさそうですね(^^)

一枚ずつ見せる絵カードも支援現場ではよくつかわれています。

遊びの中での視覚支援活用

日本の教育現場で働いている時に、クラスに一台iPadが導入されたことがありました。

もちろん学習にも使いますが、休み時間にも遊びで使っていました。

やりたい!という子どもがいた時に、先生が順番を覚えておくのも大変じゃないですか?

その時は予約表を活用。

「○○くんの、次ね」と言葉で伝えても、それがいつなのか、どれくらい待ったら順番がくるのかがわからずに待てなくてケンカが・・・ということもありましたが、

iPadをしたいときに、自分で、自分の顔写真を移動させて、順番を予約します。

使い方がわかると、自分で確認しにいって予約したり、順番がまだだと他の遊びをするようになりました。

何より言い合いが減ったのがよかったなぁ・・・。

 

教室中をあっちこっち走り回っていたりピンを好き放題倒していた子どもたちも、”マットの上で待つ” ”線のところから投げる” を理解するだけで、だいぶスムーズに遊べたり・・

写真はマレーシアの支援学級

遊びの中でも視覚的支援は使えます(^^)

 

視覚的な刺激をさえぎる

目に入ったものを、とにかく触りに行きたい!やってみたい!!と思うと同時に行動しちゃうお子さんっていると思います。

お話の時に、外を眺めていたり自分の世界に入り込んで話を聞いていなかったり・・。

ですが、聞く環境が整えられていないだけのことがほとんどです。

外の景色やその場所から見えるおもちゃ等、目からに入る情報をあえてシャットダウンして、いましていることに集中しやすくするという関わる側の工夫が大切です。

 

マレーシアで教材を置く場所がなく、仕方なく教室の近くにおいたことがあったのですが、子どもたちにとっては魅力的な遊び道具です。

視覚刺激が強いーーーー。

なので、隠しました。

それでもめくって触りに行く場合は、また別の支援が必要になるのですが、

基本的に、今使わないもの、必要ない物はすべて見えない場所に移動させたりして、シンプルに。

発達障がいのお子さんは、入ってくる情報の優先順位をつけるのが得意ではないので、環境整備(構造化)が必要なんです。

 

保育園にも発達障害の診断はなくても、集中が難しいお子さんや言葉の理解が難しいお子さんなどいると思うので、教室がゴタゴタしている場合は、情報を整理してみるといいかもしれませんね(^^)

 

教材等を作る際の注意点

これらは手作りがほとんどなのですが、手作りって時間がかかりますよね。

作るときの注意点を書いてみたいと思います。

最初からしっかりしたものを作らない

時間をかけて凝ったものを作ったのに、子どもに合わない場合や、一瞬で破壊されてしまうこともあります。(笑)

お試しで作ってみて、使えそうだなぁと思った、ちゃんと作るでもよいと思います。

 

持ち運びができたり、移動させたりできるように

子どもたちが届くところに置いておくと、遊び道具になってしまったり、どこかに持って行ってしまって一枚写真がなくなったりすることもあります。

そうなりそうな場合は、必要ない時には余計な刺激にならないように、片づけたり、手が届かないような場所に設置した方がよいです。

また、以下の写真はマレーシアでの一コマなのですが、先生がボードを持って動かしながら見せてます。これだけ近い距離で呼びかけても、先生の方を見ない場合があります。(先生の呼びかけを認識できていない)

持ち運びができたら、本人の目に入る位置まで移動させて見せることで、その子は気が付くことができます。

他の部屋でも使えるように持ち運びができると便利♪♪

その他の具体的な支援を書いた記事がこちらです。

興味のある方は覗いてみてくださると嬉しいです。

 

終わりに。絵カードや写真、実物を見せて理解を促す大切さ。

保育園の先生方ってすごい大変だと思うんです(泣)

行事も多いし、子どもたちもまだ小さい子どもが大勢!

 

一人のお子さんに関わっていられない!と言われると、そうだろうなぁ・・・と思ってしまいます。

 

ですが、絵カードや写真、具体物を使用するなどの視覚的支援を活用することで

誰にとってもわかりやすい・行動しやすい場所になる可能性が大です!!

大切なことは、「自分で行動できた」という達成感・・・心を育てることが大事だと思っています。

 

視覚的支援を使ってみたけれど、もし、繰り返す中で必要がなくなったら無くしてもいいですし、

合わなかったらほかの手段を試したりして、”どうやったらこの子ができるようになるのか”を工夫していきます。

特別支援ってそんなことの繰り返しです!!

一人一人学ぶ方法や発達段階も違うので、逆に、 ”この方法が絶対だ!“ と一つに決めるのはこわいなと思ってもいます。

 

大変だからこそ、忙しいからこそ、視覚的支援を取り入れるという考えがあると、先生たちも子どもたちも少しは楽になるのかなぁ・・・・と。

 

一緒に子どもの「できた」を育てていけたら幸せ!って思っているので、こんな記事を書いてみました。

何か、少しでも役に立てると嬉しいです。

以上、オクユイカ(@Saba0m)でした!

支援に関する おすすめ本

実は私のパートナーは保育士歴17年の保育士さん。何人もを同時にみるとやっぱり個別的な対応は難しいのかなっていう印象をうけてしまいます。

そんなパートナーが実際に本を読んでわかりやすかったという本がこれ(^^)

 

自閉症のすべてがわかる本

佐々木正美先生の本。自閉症とは?支援方法は?をわかりやすく書いてあります。すべてがわかる本・・・というわけではなく、入門書にはぴったりな本です。

自閉症という言葉を全面に出していますが、この中で出されている視覚的支援や構造化(子どもにとってわかりやすくする工夫)は、参考になるはずです(^^)

構造化に関する本

こちらも、自閉症児の・・・と全面にだしてありますが、具体的な視覚的支援や構造化についてがわかる一冊です。

こちらもオススメ!

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おく ゆいか。
介護福祉士→発達障害関係のNPO法人→特別支援学校教諭→退職して青年海外協力隊etc...
”みんな違ってみんないい” を実現する社会をつくるために、NPO法人TetoCompanyを設立し
大分県竹田市にて地域の交流拠点や福祉事業を運営。
小心者でおっちょこちょい。
LGBTサポートチームココカラ!共同代表。LGBT当事者として大分県内で講演活動等もしてます




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